
なんでおとなはおねしょしないの?
ある朝、おねしょをした息子がちょっと恥ずかしそうにこんな疑問を投げかけてきました。
そういえば自分も小学生になってもたまにおねしょしちゃってて悩んでたのを思い出しました。
大人になって今では当たり前のようにおねしょしなくなったけど・・・確かになんでだろう。
ということで、調べてみました。
■ 大人がおねしょをしない理由
夜におしっこが出るか出ないかは、次の3つの要素が関係しています:
1.尿の「つくられ方」(腎臓とホルモンの働き)
2.尿を「ためる力」(膀胱の容量)
3.尿意で「目を覚ます力」(脳と神経の覚醒機能)
これらが発達することで、大人は夜間に排尿をしなくなります。
1. 抗利尿ホルモン (ADH)がちゃんと分泌されている
ADH(バソプレッシン)は腎臓に「尿を濃くして出す量を減らしてね」と指示するホルモン。
健康な大人は夜間にこのADHの分泌量が増えるため、尿量が減ることが分かっています。
子どもの場合、このリズムが整っておらず、日中と同じように尿が作られてしまうことがあります。
🔗 出典:Kamperis, K. (2021). Nocturnal enuresis in children: The role of arginine‑vasopressin. Handbook of Clinical Neurology, 181, 289–297. https://doi.org/10.1016/B978-0-12-820683-6.00021-X
2. 膀胱の容量が大きく、尿をためる力がある
単純に成長するにつ入れて膀胱が大きくなるので夜間ためておける尿量が多いです。
以下の論文によると、2歳〜4歳半の間に膀胱容量は約2倍になるとなり、それにより夜間の排尿頻度が大きく減少するとのことです。
🔗 出典:Muellner, S. R. (1960). Development of urinary control in children: Some aspects of the cause and treatment of primary enuresis. JAMA, 172(12), 1256–1261. https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/328209
3. 尿意を感じて目を覚ますことができる
大人は膀胱がいっぱいになると脳が感知して目を覚まします。
子どもはまだこの覚醒反応(脳の反応)が未熟なため、眠っている間に排尿してしまうことがあります。
日本のガイドライン(夜尿症診療ガイドライン)でも、この覚醒反応の未発達が夜尿の要因の一つとして挙げられています。
🔗 出典:日本夜尿症学会編 (2021). 夜尿症診療ガイドライン2021. https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00690.pdf
■ 5歳の息子へ
「誰でも子どもの時はおねしょしちゃうんだよ。子どもの身体はまだ成長している途中だから、おしっこが言うことを聞いてくれないんだよ。でも、少しずつ身長も大きくなってきてるでしょ?それと同じでお腹の中も成長していって、おねしょの回数も減ってくるんだよ。だからいっぱい食べていっぱい運動していっぱい寝て、いっぱい大きくなればきっとおねしょしなくなるから大丈夫。」