私、辛い食べもの結構好きな方なんです。カレーとか麻婆豆腐とかペペロンチーノとか
でも、子どもと別に作るのは面倒くさいし・・・
あきらめてカレーは甘口、麻婆豆腐はケチャップベース、ペペロンチーノはアーリオオーリオ
たまには辛いの食べたい!!
そんなことを考えながら、ふっと思いました。
そういえば、いつから辛いもの食べれるようになったんだっけ?
子どもの頃から食べれたわけじゃないし・・・
どうして大人になったら辛いもの食べれるようになるんだろう(食べれない人もいるけど)。
ということで、調べました。
■ 「辛さ」は味覚ではなく“痛み”
まず最初に驚くべき事実:
辛味は、甘味・塩味・酸味などの「味覚」ではなく、“痛みや熱さ”と同じ刺激として感知しているとのこと。
辛さの主成分は「カプサイシン」と呼ばれるもので、カプサイシンはTRPV1(トリップ・ブイ・ワン)というセンサーを刺激します。
このTRPV1は、痛みや熱の刺激に反応するセンサーです。
つまり、「辛い」という感覚は、「痛い」や「熱い」という感覚と同じということです。
🧪 引用①
「TRPV1はカプサイシンおよび43℃以上の熱によって活性化されるイオンチャネルであり、感覚神経を脱分極させる」
― Caterina MJ et al., Nature, 1997
PMID: 9349813
■ 舌が鈍るのではない、神経が“慣れる”:「脱感作」のはたらき
繰り返し辛さを感じると、痛みセンサー(TRPV1)は「これくらいならもう慣れたよ」と働きを弱くします。
専門用語で「脱感作(desensitization)」と呼ばれ、痛み信号を伝えにくくする仕組みです。
🧪 引用①:
「カプサイシン刺激後、TRPV1をもつ神経は急性脱感作を起こし、痛み信号の伝達が弱まる」
— Agonist- and Ca²⁺-dependent Desensitization of TRPV1, J. Neurosci. 2012
PMC3365984
これで、辛いのに「前ほど痛くない…」と感じることが増えてくるのです。
■ 辛さを「おいしい」と感じる理由:脳の快感回路
同時に、辛さによる痛みを感じると、脳では「えらい痛いぞ!」という危機感とともに、体を助けるエンドルフィンというホルモンが出ます。
これが“痛みをやわらげてくれるごほうび物質”として働きます。
🧪 引用②:
「カプサイシン投与後、ラットではプロオピオメラノコルチン(β-エンドルフィンの素)mRNAが20分後に増加」
— Acute Effects of Capsaicin on Proopiomelanocortin mRNA Levels in Rats, J. Neurosci. 2012
PMC3372568
つまり、「辛い→痛い」だけで終わらず、「でもスッキリする!」という良い感情に上書きされるのです。

